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:: K.house

30坪の施主は一人の老婦である。増築を重ねながら家族と住んできた家も、子供たちの独立によって一人で住むには大きすぎるものとなり建て替えることとなった。施主である老婦は「小さくてもすみやすい家に、過去の記憶と共に過ごしたい。」と要望を元気に語ってくれた。施主の要望から、「記憶・空間・機能のバリアフリー」というコンセプトが浮かんだ。機能として必要なバリアフリーだけでなく過去の記憶をつなぐような家が望まれていると感じた。

この住宅はひとつの大きな部屋を中心とし、四方に土間、台所、便所、風呂、デッキを配置している、中心の空間は可動間仕切り(ふすま)により4つの空間に分割され、それらは用途、住み手の意思によってフレキシブルに対応する。
全体として、昔の住宅に見られる(続き間)の考え方を基とする障壁のないバリアフリー空間がえられる。四方コアスペースは、既存の庭、池、道路、介護者住宅などの外部要素との関連性の中で配置される。建物全体を覆う深い庇によって周囲に縁側的な空間を設け、外部空間と穏やかに連続させている。

この小さな住宅で老婦が追憶のなかでいきいきと生活し、訪れる孫たちが{おばあちゃんの家}として記憶の中で懐かしく思い続けてくれる続き間(記憶のバリアフリー)を望んでいる。

所在地/神奈川県
規模/地上1
延床面積/61.25m2(20坪)
構造/木造