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既存建物は4階建てのビルで、都心から少し離れた場所に立地している。周辺は緑が多く残されており、特に最上階の4階部分は、周囲に高い建物がないことから、見通しの良い視界が広がっている。その4階部分を、住居スペースとして利用出来るように改修を行った。

既存建物の4階部分は、東側、西側に、広い屋上スペースを持つペントハウスとなっている。ただ、既存の内部空間は、東西の広い屋上スペースに対して開口部を設けているが、外部空間を積極的に利用していなかった。その4階部分を、外部と内部が一体化するような空間として、ペントハウスの特性を生かした改修が出来ないかと考えた。

改修は、新たに、鉄板で構成された大庇を、東側のテラスから、内部空間を貫通し、西側のテラスまで連続して設け、外部と内部の境界は、制作のスチールサッシ用いて、それらを開放することで、内外が一体化する空間構成としている。

更に、西側のテラスは、大庇によって架けられた屋根面から、鉄板を床面近くまで立ち下げ、ベンチとしても利用出来るように、外部空間を囲い込むことで、屋上の強い日差しや、風雨、周辺からの視線を遮り、半屋外のテラスとして積極的に利用できる空間としている。

また、壁面、床面に関しても、モルタル左官調仕上げによって、内外の素材が統一され、床面の廻りには、五郎太石を連続して敷き詰めることで、より内外を一体化する空間構成を強めている。そのテラスと連続したモルタル床の部分には、五郎太石の上をガラス床のブリッジによりアクセスすることで、そこに新たな境界を作り出し、本来意識されるはずの外部と内部の境界を、曖昧なものとしている。

内部のモルタル床の中央部分は、掘り込まれたクッションスペースとなっており、視界を一段下げることで、落ち着きのあるリラックス出来るスペースとなっている。そこから、水廻りスペースや、ベッドのスペースまでは、五郎太石の上に架かるガラス床によってアクセスする「離れ」のような空間となっている。

また、水廻りに設けたミストサウナからは、もう一つの屋上スペースがある露天風呂までグレーチングの床で繋がり、露天風呂のスペースは、羽目板が貼られた庇と、半透明のガラス手摺によって、周辺からの視線を遮りつつ、自然へと視線が抜ける空間となっている。

ペントハウスの特性である屋上スペースを、鉄板による大庇と、統一された素材、五郎太石によって連続させることで、内部空間と外部空間の境界が曖昧となった、内外一体のペントハウスが実現している。

所在地/東京都
規模/地上4階ペントハウス
延床面積/124.14m2
構造/鉄筋コンクリート造