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敷地は住宅街に位置し、旗竿形状の土地であることから、四周は個人住宅や共同住宅によって囲まれている。周辺建物のそれぞれは、敷地に向かって開口部を有していることから、プライバシーの確保が必要となる。

建物は、前面道路からの竿状部分をアプローチ空間として利用し、奥側の旗状部分に建物を配置している。許容される建蔽率の最大面積を、奥側の旗状部分で確保すると、建物は、敷地いっぱいに配置する必要があるため、敷地境界からセットバックするなどして、周辺からの距離を確保することが難しい。周辺からのプライバシーを考慮すると、外壁の開口部は通風などを目的としたものとして、あまり大きな開口部を設けない方が望ましいと考えた。

また、住宅のゾーニングを検討したところ、1階を生活の中心の空間として、LDK、水廻り、家族全員分のウォークインクローゼットを集約し、2階に寝室を配置することが、施主のライフスタイルに合っているとの結論に至った。

敷地いっぱいの建物形状で、1階に最大限の面積を確保した生活空間を確保することから、特に1階への採光をどのように確保し、また、生活空間に広がりを持たせるかが課題となった。

建物は、全体に採光を確保するために、屋根面、テラス面には、トップライトと大小のテラスを配置し、2階の寝室などに必要な床以外を、吹き抜けとガラス床によって構成したヴォイドとして、それらを建物全体に散りばめて配置することで、1階まで明るい光をもたらしている。

ヴォイドは、建物全体に光をもたらす役割を担うと共に、1階の生活空間から見上げた際には、中庭やトップライトなどを通して、空まで視線が抜けるように、立体的にズラしながら配置することで、生活空間に広がりをもたらしている。また、1階の外壁面足元に設けられた通風窓から取り込まれた風は、ヴォイドの上部に設けた電動開閉式トップライトへと抜けていくことで、建物全体が風通しの良い空間となっている。

建物全体に散りばめられたヴォイドが、光や風、視線の立体的な抜けをもたらし、そこに住まう家族を包み込む一体感のある空間が実現している。

所在地/東京都
規模/地上2階
延床面積/98.44m2
構造/木造