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:: 0007 / 「尼崎パーキング設計コンペティション」入選

木漏れ日パーキング

本計画では藤棚や葡萄棚といった日本の伝統的な風景をモチーフに自然と建築が融合した心安らぐ木漏れ日の環境を高速道路のパーキングとして提案します。アスファルトとコンクリートの高架高速道路に細長い緑地や駐車場の高木群と連続する、大きな緑化屋根は、一連の自然のまとまりとして高架高速道路のオアシスのように周囲に現れ、木漏れ日に包まれた空間は豊かな自然環境の場を作り出します。

開かれた散策パーキング

柔らかな緑化屋根に包まれたおおらかな景観は周囲に安らぎを与え、木漏れ日の緑化屋根の下の空間は自由に人々を招き入れ、豊かなくつろぎの場となります。トイレや授乳室、倉庫等の閉じたヴォリュームを効率的に細長く分散配置することで、端部の二つの緑地帯と緑化屋根の下の空間を連続させ、自然の木立の中を散策するような豊かな環境を作り出し、細長い敷地を回遊性のある豊かな憩いの場として有効化します。

自由度の高い広場としてのパーキング

大きな緑化屋根はランダムに配置された細い柱群によって持ち上げられ、その下に林の中のような広々とした自由な空間を作り出します。大きな屋根によって風雨から守られた空間は天候に左右されることのない安定した空間を作り出し、物産展や企業PR等の様々なイベントや企画に対応できる賑わいのあるパーキングとなります。

情報ネットワーク拠点となるパーキング

屋根の下に分散配置したヴォリュームは鏡面ステンレスで覆われ、緑化屋根や周辺を映し出す鏡となると共に、様々な情報提供のキャンパスとして機能します。メインの情報モニターと共にプロジェクターによって画像を映し出すことで、様々な情報を訪れた人々、および周囲に提供します。新たな情報伝達メディアを積極的に容易に活用する余白を残しつつ、設備を充実させることで情報ネットワークの拠点となります。

自然と建築が融合したパーキング

木立のようにランダムに配置された柱はその上部に樹木を植える鉢の機能を有しており、柱内部で排水、自動灌水の機能を備え、構造と植育の機能を併せ持ちます。柱上端に張り巡らせたワイヤーに沿って樹木は屋根全体に広がり、直射日光を遮る、木漏れ日の環境を作り出します。柱上端のワイヤーは張弦梁としても機能し、屋根は細いフレームと軽くて丈夫なETFEに覆われ、断熱性能を有した透明な屋根を実現します。

循環型の社会に適したパーキング

ETFEによる断熱性能を有した透明な緑化屋根によって自然採光を基本とした、豊かな木漏れ日の環境を提供し、夏は厳しい日射を遮り、冬は天井に溜まった熱だまりを拡散することで温熱環境を整えます。緑化屋根は部分的に開閉可能な開口部を設けることで、煙突効果により通風が助長され、自然換気を有効的に利用します。木立のような柱の最上部には太陽光パネルが設置され、電力を蓄電利用することで、省エネルギー化を行います。倉庫等のヴォリューム上部に設けた雨水貯留槽から緑化屋根に自動灌水を行い、植育と屋根下の温熱環境の調整を行います。

防災拠点としてのパーキング

災害時における避難所として大きな緑化屋根下空間を設けることで、人々が安心して風雨を凌いで過ごせる空間を作り出します。循環型社会に適したパーキングは災害時にも有効に機能し、電力の供給、および自動灌水のための雨水層は断水時のトイレの利用に貢献します。トイレや備蓄庫等の機能も一続きの屋根下に設けることで、緊急災害に備えます。